糸魚川産 プレナイト
Share
糸魚川ひすい倶楽部のアーカイブ記事です。
当時の記録として、2016年の現状をそのまま掲載しています。
***
知り合いの翡翠商から、上等な青ヒスイがあるけど見に来ないかと連絡をもらい、早速、翡翠商宅に行った。高価ではあったが、青ヒスイの商談はほどなく成立した。
商談後、お決まりの翡翠談話をしている際に翡翠商宅のテーブルの上に置かれていたヒスイであろう鉱物が気になった。
私: 「これは綺麗ですね。どこで採れたんですか?」
翡翠商:「知り合いが20年くらい前に姫川で拾った石で、それを買い取ったんだよ」
「ミュージアム(FMM)で鑑定してもらったらヒスイと言われたよ」
すでに勾玉などに加工し新潟県外に持ち込み、販売したらしく、テーブルの上の原石はその時の端材なのだと言う。
私はその原石を手に取り、何度も感触を確かめ目視したが何か違和感があった。
原石は数キロ残っているそうなので交渉し、すべて譲っていただいた。
その原石がこれである

いかにも糸魚川産らしい鉱物の外殻
一見、上等なヒスイであるかの様なポテンシャルを感じるが凝視するとヒスイ結晶がほとんど確認できない。

透光性も申し分ない

FMM目視鑑定ではヒスイと言われたらしいが・・・・・・
目視は目視。そもそも鑑別を鑑定と言っているのは大間違いである、翡翠はダイヤモンドではない。
とりあえずこの原石から試験加工(切断や研磨)してみたところ違和感は確信に変わった。若干ではあるが手に伝わる感触に違いを感じる。
これはヒスイではない。
私も天然石加工を生業にしている手前、これをヒスイとして市場に出すわけにはいかないのである。
数か所の機関に有料鑑別を依頼した。
結果はどの機関も プレナイト(Prehnite)
ただし、面白いことにヒスイ輝石も含有しているとの報告もあり、いかにも糸魚川産らしい。今風に言うと Jedeite In Prehnite と言いましょうか・・・・・
不純物に見える暗色の筋部分にヒスイ輝石が含有しているとのこと。

糸魚川産プレナイトは珍しいわけではないが、これだけボリュームがあり、美しいプレナイトは希少だと思う。鉱物標本より加工品に仕上げた方が更に美しいアイテムに仕上がりそうな雰囲気がある。
少量だが丸玉に仕上げる

市場に多い角閃石が目立つ糸魚川ヒスイを軽く凌駕する美しさと上品さがある。
ネフライトではないが、羊脂玉(中国の高級な玉)もイメージできる。
このクラスの糸魚川産プレナイトの丸玉は市場に流通がない激レアかもしれない。

透光性もあるので薄淡い緑色に見える。
透明感が強く透き通ったプレナイトとは違い、どこか奥ゆかしさと和的な雰囲気を感じる。
糸魚川の鉱物は相変わらず奥が深い。
***
追記:
もう10年前の記事です。
当時から翡翠商やFMMは、目視で翡翠かどうかをアバウトに判別する風潮がありました。
驚くべきことに現在でも、プレナイト(ぶどう石)・アルビタイト(曹長岩)・ペクトライト(ソーダ珪灰石)等 翡翠に類似している鉱物や、また比重が3.2付近の天然石を翡翠だと認識しているアマチュアが多数存在しているというのも事実です。天然石を見た目だけで判断するというのは怖いもので、姫石グループ全店は職人の目と感触に加え、時には鑑別機関の化学の目を通し、慎重に判別しています。