桃簾石?
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糸魚川ひすい倶楽部のアーカイブ記事です。
当時の記録として、2014年の現状をそのまま掲載しています。
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糸魚川の海岸や河川で稀ではあるがピンク色の鉱物が採取できることがある。今尚、ピンク翡翠と呼ぶ人もいるが、ヒスイではない。
その鉱物は糸魚川のヒスイ専門店やヒスイハンターの間では 桃簾石 という名称で伝わっている。

↑ 姫川 河川で採取した個体
個人ブロガーや販売店の方も糸魚川で採取したピンク色の鉱物 ≒ 桃簾石 ≒ チューライト(Thulite) と紹介している方が多い。
チューライトの和名は桃簾石である。
しかし、フォッサマグナミュージアム(以下FMM)監修の冊子には クリノゾイサイト(Clinozoisite)≒ 桃簾石 ≒ チューライト と記載されている。
ん~。。。。。。違和感がある。
クリノゾイサイト ≒ チューライト ???
鉱物に詳しい方なら、 あれ?っと思うかもしれない。
ゾイサイト(Zoisite、斜方晶系) 和名:灰簾石(かいれんせき)
クリノゾイサイト(clinozoisite 単斜晶系) 和名:斜灰簾石または単斜灰簾石
この2つは科学組織は同じだが、結晶系が異なる、同質異像 という。
タマゴ焼きと目玉焼きみたいな関係というか……とにもかくにもクリノゾイサイトはチューライトには なれないと私は思う。
FMMにこの事で突っ込んだことがある。学芸員の目視鑑別ではなく、有料鑑別 簡易定量分析もお願いした。

試料名 ロディン岩 と記載されていた。
結局、ロディン岩 という結論を頂いた。
鑑別はかなり大きな括りで、ピンク色の部分を特定するものではないらしい。
何だか はぐらかされた様な。。。。。。
緑色をしたロディン岩は糸魚川ではキツネ石とも呼ばれたりする。
私は鉱石好きで、鉱石の加工品を販売して生業にもしているので、糸魚川産のピンク色の石をロディン岩として販売するにも抵抗がある。桃簾石として販売すればいいのだろうけど、超詳しい鉱石マニアよりクレームが来たらどうしよう?とか思ってしまう。
販売側としてまずは真意を正したく、製作したピンク色の勾玉を東京や京都の専門機関に送り、更に正確な分析をお願いした。


数枚の諭吉とお別れしたが、かなり納得のいく結果にたどり着く
鑑別書も発行していただいた。

桃簾石(チューライト)とは記載されず ご覧の通り 「ピンク・クリノゾイサイト」
ここで分かったことはチューライトではないと言いう事
分析した同個体はこれ ↓

こんなに美しい色味で ロディン岩 とは言いたくないですな
ちなみに海外産 本物のチューライトがこちら ↓

ピンク色が濃いですが、ソックリです
糸魚川の海岸で採れたもの ↓

現在では糸魚川で採れたこの石は 皆さん桃簾石として楽しんでいる。
今更ながら「ピンク クリノゾイサイトだよ!」とは言いにくいし、逆に弾圧されそう。
私も桃簾石と呼ぶしかないかな
でも業者様は少なからずとも覚えておいた方がいいと思う。
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追記:
ほんの10年程前の話です、当時はまだ 糸魚川で採取できるピンク色の鉱物=「桃簾石」という呼び方が当たり前でした。現在では「ピンククリノゾイサイト」という認識は随分と広まったように感じます。
当店職人は石に対しての微かな違和感を見逃さず 徹底的に調べ深めていくような性分でして、制作の傍ら 鉱物研究にはかなりの時間を費やしてきました。現地取材はもちろんのこと、大枚をはたき 化学分析の専門機関にお世話になることも珍しくありません。風土風習+科学の目、そして経験に基づいた加工感触、様々な角度から石を見つめてきました。
「販売業者として正しい知識と背景を知っておく必要がある」と当時から口酸っぱく言われていましたが このスタンスは現在に至るまで変わらず、姫石の作品づくりの要になっています。